エロゲ『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』コンプしましたので軽く感想など(ネタバレ無し)

素晴らしき日々 ~不連続存在~ 通常版
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あらすじ [編集]

6つの物語によって奏でられる旋律―- “言葉と旋律” の物語。

各章あらすじ
第1章“Down the Rabbit-Hole” ―― 「空と世界」の物語(主人公:水上由岐)
STORY:A
水上由岐は、空から降ってきたぬいぐるみを拾う。
ぬいぐるみを落とした少女、高島ざくろは言う。
それは〝空に帰る日〟を探す為の行為なのだと。
その日から由岐は、幼なじみの若槻姉妹、高島ざくろと共に
〝空の少女〟と〝世界少女〟とが出会う、その場所を探すことになる――

STORY:B
水上由岐は、会ったばかりの少女、高島ざくろにキスをされる。
彼女は言う――〝これからすごい事が起きますからね〟――。
次の日、学校では、ひとつの噂と共に不穏な空気が流れていた。

〝高島ざくろが自殺したらしい〟

その日から、由岐の日常は少しずつ狂い出す。
〝終の空〟へ向けて、少しずつ――

第2章“It’s my own Invention” ―― 「終わりと始まり」の物語(主人公:間宮卓司)
間宮卓司は偶然に、高島ざくろ自殺現場に居合わせる。
その日その時点から、間宮卓司の世界は周囲とズレ始める。
そして彼は行動を起こす。
〝救世主〟として、人々を〝空に帰す〟ために。

その空の名は――〝終の空〟――

第3章“Looking-glass Insects” ―― 「文学少女と化学少女」の物語(主人公:高島ざくろ)
高島ざくろは屋上で出会った少年に恋をする。
その少年は詩人、剣豪、哲学者、そして――空気力学のパイオニア。
一方で高島ざくろは、友人の橘希実香と共にイジメに遭っていた。
そして少女は選ぶ。

その選択肢が、世界の分岐点だとも知らぬまま――

第4章“Jabberwocky” ―― 「救世主と英雄」の物語(主人公:悠木皆守)
悠木皆守は〝破壊者〟だった。
ゆっくりと〝終の空〟へ向かう世界。
立ちはだかる〝救世主〟
自身の存在が揺らぐ中、

少年は妹のために〝英雄〟になることを誓う――

第5章“Which Dreamed It” ―― 「兄と妹」の物語(主人公:間宮羽咲)
間宮羽咲は、兄の帰りを待っていた。
何年も、何年も、ひたすらに、ただ、待っていた。

〝本当の兄〟が帰ってくるその日を――

第6章“JabberwockyII” ―― 「向日葵と坂道」の物語(主人公:皆守)

それは、物語の始まりの物語。

兄と妹。

その遠い日の記憶が、

〝終の空〟へと続く物語の発端だった――

(Via 素晴らしき日々 〜不連続存在〜 – Wikipedia)

2chでの2010年ベストエロゲに選ばれた今作。
ニロカン エロゲネタ&業界板(葱板) 2010年ベストエロゲー投票結果
最近やっとプレイする時間を取れたのでさっそくプレイ。
あの『終ノ空』のケロQがリメイクを発売するらしい!とのことで一部のエロゲファンの間で大変期待値が上がっていた作品なのですが…。

率直に言いましょう。
超えてるよ『終ノ空』。
トータル的な意味でね。
あの『終ノ空』が好きだった人は間違い無く楽しめます。
今作はリメイクなどではなく『終ノ空』を00年代以降のフィルターを通して見事に昇華させた新しい大傑作だと思います。
『終ノ空』という作品をどう捉えていたか、それによってはダメだと思う人も中にはいるかも知れません。
しかし大多数の人はすんなり(?)と世界に入り込めるでしょう。

ちなみに『終ノ空』って何よってな人は昔僕が書いたレビューでも読んでいただいて…

終ノ空

終ノ空 メモリアルセレクション もういちど君に逢いたい
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突然のクラスメートの死。
それは、世界の終わりをくい止めるための儀式だったという。
世界の終わり?
そんな事が、ありうるのだろうか?
しかし、本当であるか否かなど、そんな事は関係ない・・・。
学校という閉ざされた<場>の中で、その予言は<真>なるものとして受けいられていく。
そんな中、一人の少年が、世界の終わりを宣言する。
それは、<始まり>でも<終わり>でもない世界の到来の兆しだと彼は言う。
それこそは『終ノ空』(ツイノソラ)。
狂気に飲み込まれる、学園、あたかも、聖書の記述にある、
悪霊に憑かれた豚の群が湖に飛び込んで溺死する話のように、自ら破滅に向かっていく。
しかし、それは本当に破滅なのか?それとも・・・。
世界の終わりは、世界の非連続性に。狂気は、人間の認識の可能性に、
徐々に事件は、その意味を変えていく。
水上行人、若槻琴美、高島ざくろ、間宮卓司、
それぞれ違った認識から『終ノ空』に関わっていく、
はたして、『終ノ空』とはなんなのか?
人々の不安が生み出した妄想なのか、それとも・・・。

ではここらで息抜きに一般作品ではおおよそ色んな意味で公開できないような極悪ゲーをご紹介しましょう。
とても短いゲームです。
フルコンプには3時間もあれば大丈夫かと。
ゲームの内容を簡潔にまとめます。
「高校生がノストラダムスの予言を信じ、集団自殺するゲーム」です。
ルートごとに、それぞれ別のキャラの視点でゲームを進めていくのですが…。
主人公、ヒロインルートまではまだ普通です。
普通っていっても、ストーリーがなんかもうどうしようもないくらい破滅的なので一概に普通とも言いがたいのですが。
サブキャラルートに移ったあたりからがとんでもなくヤバイです。
妄想、幻覚、錯乱、狂気、電波の嵐です。

( ゚д゚) 「スパイラルマタイ」?

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚) 「アタマリバース」?

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚;) 「≒⊥?〆゛ ̄^_」?

(つд⊂)ゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚) 何言ってんのか全然わかんねえよ!!!

特に卓司シナリオがスゴイ。
もう色んなもん見えちゃってます。
ゲーム全体を通して妄想、幻覚の表現は素晴らしい。
ただし、詰めが甘い部分が随所に見受けられます。
キャラクターの心理描写や人格描写が不足しているためか、ストーリー展開に無理があります。
主題と精神描写のアイデアだけが先行しているような感じです。
哲学引用の表現が多いのでそれ萌えな方にはたまらないのですが、いかんせんやりたいことだけが先行しすぎていて、置いていかれる人はもうそりゃ置いていかれっぱなしになるかもしれません。
アイデアは素晴らしいと思うので、もうちょっとそのあたりをつめて欲しかったですね。
しかしながら表現や構成のセンスは良いと思いますし、アングラな読み物として十分楽しめると思いますので、うさんくさい表現や狂気といったものに目が無い人にはぜひプレイしてもらいたいです。
音楽も絶望的で良いですよ。
あ、ついでに言っておきますが、操作システム面はかなり悪いです。
まあ短いゲームなのでそんな気にならないかもですが。

(Via エロゲー | JUNK blog)

どうでしょう?
哲学、っていうか厨二病全開です。
行きすぎて誰もついてこれなかったという名作です。
僕は発売数年後に噂を聞きつけ買ってプレイしました。(確か中古。その時はもう新品が売ってなかったので。)
度肝抜かれました。
あまりにも度肝抜かれたので大学の友達に貸しまくって布教しようと努めましたが全開で引かれて終わりでした。
ていうかまだ返してもらってないんだけど!?
誰々に貸したかもう忘れちゃったよ…(´・ω・`)

何しかね、僕は大好きだったんですよケロQの『終ノ空』が!
90年代から00年代初頭にかけてエロゲがサブカルとしての地位を獲得しえた本当の理由はエロでも萌えでも燃えでもないです。
本当の、本物のオタクがオタクのためだけにシナリオを練り上げた作品が多く発売されたからなんですよ。
エロゲでしかできない表現。
エロゲをやることでしか手に入らない感動、感情。
18禁=エロとしか想像できないうちは損してますよ。

『終ノ空』もそんな作品の中の一つ。
今やエロゲは大衆化してしまい絵だけかわいいエロいギャルゲや、アニメ化コンシューマー化を初めから視野に入れて開発されたような作品がたくさんあります。
もちろんそれはそれでいいんです。
でも僕は心のどこかで「もう『終ノ空』や『さよ教』みたいな作品は発売されないんだろうなー」と思っていました。
しかしやってくれました。
ケロQが。
僕が『終ノ空』について不満に思っていた箇所を全て払拭した新たな作品として『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』を市場に投じ、僕に同じ感動を与えてくれました。
哲学、認識論、独我論を引用しまくりそれを考察しながら紡いでいくマジキチな物語。
選択肢による進行変化、繰り返される視点変更、叙述トリック、これはまさにエロゲ、というかサウンドノベルでしか成し得ない感受世界感です。
小説やアニメや映画では絶対に再現できません。

もちろん不満点は多少あります。
卓司編に出てくるアレらは『終ノ空』に出てきたアレらの方が不気味で好きでしたね…今作のはなんかかわいい…。
あとラストらへんのご都合主義感は少し鼻につきました。
んーでもまあラストのトゥルーED(?)の曲が超良かったからいいや!w
あ、ED曲もいいんですけどOPももちろんいいんですよねー

ね?
青春学園ラブコメど真ん中!って感じでしょう?
超良い!
でもこれはある意味OP詐欺…。
実際最初の方はほんわか風味なんですけどね…。
途中結構悪趣味オンパレードな感じなんである程度の覚悟は要ります。
性的な意味でもビジュアル的な意味でも精神的な意味でも…(;・∀・)

超かわいい絵に釣られて買うと大火傷する作品ですがたまにはいいじゃないそんな大怪我もさ!

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